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トロぬら四字熟語

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黄塵万丈
紅塵万丈

(こうじんばんじょう)

 黄塵万丈と紅塵万丈。どちらが正しいか。問題である。
 私は、「黄塵万丈」が正しいと考えていた。まず、この意味を先に解く。
 多分、日本に黄砂をもたらす黄河砂漠の砂埃のことであろう。とにかく、黄色の埃がもうもうと立ちこめている様を言う。
 さて、砂埃を世間の雑音、風評として、「黄塵万丈」を用いたはずである。ところが、私は、かなり前に夏目漱石の「坊ちゃん」の中で、「紅塵万丈」を見つけた。この時、夏目漱石の意図的な誤用と考えていた。それは、夏目漱石が現代でも多用される、自身による造語がたくさんあるからで、そのことは有名だ。主人公が都会を離れ、その時の気分を表すために、「黄」を「紅」と敢えてとりかえ、都会の雑然とした空気を示したかったのだと思い、そのままとした。
 今年(2016年)、谷崎潤一郎著作物の書作権切れがあり、これを受けて、青空文庫に彼の作品が公開されつつある。早速、「春琴抄」を読んだが、そこにも「紅塵万丈」が出ていた。その時、夏目漱石の影響力の凄さを知ったつもりであった。
 で、今となっては、この二つの四字熟語は夏目漱石の偉大さにより、別の意味と考えたほうが良さそうだ。
 つまり、「紅塵万丈」は、特に、その環境汚染原因が都会由来に限りたいときに使用すすると正しい使い方となろう。

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